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ウェルウィン・W・カーツ「魔女の丘」

20070108195529[1] 魔女の丘
 ウェルウィン・W・カーツ
 福武文庫






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著者のウェルウィン・W・カーツは、カナダの小説家で、児童文学を中心に書いているようです。
このホラー長編も、児童文学として書かれたものだそうですが、
巻末の金原瑞人の解説にもある通り、児童文学の中では読み応えのある、思わぬ拾い物といった佳作です。

お話ですが、英仏海峡に浮かぶ、ガーンジー島という孤島に旅行に来た、アメリカ人の父と子が、
島にいる父の友人の家に逗留しますが、家の裏の丘には怪しげなストーンヘンジがあり、
やがて、村には未だ魔女信仰があることが、次第に明らかになってきて…という内容です。

児童文学ということもあり、十四歳のアメリカ人の子供を主役にした、この小説ですが、
極めてオーセンティックな筋立てながら、堅実な筆力があり、思わず引き込まれます。

ホラー的な部分で主軸になるのは、本当に魔女なんているのか、という常識の壁との溝と、
いるとすれば一体誰が、という疑心暗鬼です。
主人公が信じられるのは、逗留先の一つ下の娘だけで、自分の父も理論で、主人公を説き伏せようとします。
手堅い筆運びで、著者は主人公をじわじわと追い詰めにかかります。

子供を主役にした場合、より周囲からの理解を得るのが難しい為、孤立状態に追い込むのに適していますが、
この小説は、そこに常識感の異なる人間を何人か置いて、現状認識にも揺さぶりをかけてきます。
これは、今更魔女なんてくだらない、という読者の方には、割合効果的な手法だと思います。
そもそも主人公自体が、ずっとそういう常識の壁に、自分の直感を阻まれ続ける訳ですから。
超常現象的な事態はなかなか起きず、見張られている感覚が徐々に強まるような、抑えた筆致が、
児童文学でありながら、なかなかに渋く、これはこれで良いと思います。
また、児童文学らしい、主人公の成長物語の側面も、しっかり描かれていて、
一つ下の娘との交情や、父を越えて自立する瞬間も描かれていて、読後感は風通しの良い感じです。

また、作中には「古アルバート」という、古文書が出てきますが、
ネタバレになるので詳細は書けませんが、この書物の趣向がなかなかに面白いです。
真相が分かった時に、「あ、なるほど、それで作中に、あのアイテムがずっと出ていたんだ」という、
複線のさりげなさも、堅実に効果を上げています。
(読んでない方は、何が何だか、という感じで恐縮ですが)

ぶっちぎりの傑作とは言えませんが、暇潰しで読む程度なら、十分お釣りがくる小説ではあると思います。
最近こんなものを読みました、ということで、こうして挙げさせて戴きました。
渋い!
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Author:WORLD BEANS
ホラー小説専門同人誌、
「DAMMED THING」告知用ブログです。
活動状況はほぼ更新せず、大半は読んだホラー小説のことを、ぶつくさ書いてます。
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