那智史郎 宮壁定雄編「ウィアード・テールズ2」

20070108195529[1] ウィアード・テールズ2 
 シーベリー・クイン他 那智史郎 宮壁定雄編
 国書刊行会






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一口にウィアード・テイルズといっても膨大な作品がありまして、内容も玉石混淆です。
国書刊行会の「ウィアード・テールズ」は、中でも「石」に当たる、B級の方にかなり特化してまして、
私が漠然と思い描く同人誌は、こちらのテイストだったりします。
(勿論、過度にB級にこだわる気もないのですが…)

中でも、匿名の閨秀作家だったG・G・ペンターヴスの「八番目の緑の男」は、
とても傑作だとはお薦めできませんが、大らかなB級ホラーで私は愉しく読ませて貰いました。
著名な探検家である主人公氏が、たまたま知り合ったがさつな男のせいで、
店の前に人間の形を模した樹が七本並ぶ、「七本の人間樹軒」なる、
怪し過ぎる飲食店に誘われる、というお話ですが。
同行の男があまりにも迂闊過ぎて、一人、飛んで火に入る夏の虫状態になるのですが、
こういう登場人物のおかげで、ホラー小説は多くの恩恵を被っているのですね。
彼みたいな人間がいなければ、その店に寄らずに、それで終わりですから。

そのような迂闊な方々は、この本の他の作品にも登場してまして、
F・B・ロングの「千の足を持つ男」の科学者とか、
フランシス・フラッグの「おどる怪光線」の科学者とか、
アドルフォ・デ・カストロの「最後の実験」の科学者とか、
この時代の科学者は、少なくとも小説の上では随分迂闊な人が多かったみたいです。

その一方で、良識ある科学者も登場します。
このアンソロジー唯一の連載小説形式である、グレイ・ラ・スピナの「闇からの侵入者」に登場する、
ポーシャという女性の科学者は可憐で、研究熱心かつ、聡明な科学者として描かれますが、
その彼女にしても恋と研究の板挟みに思い悩み、それを人のいい語り部の叔母があれこれ気を揉んでいるという、
素朴な語り口が魅力のホラー小説でした。
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No title

この時代のパルプホラーって、現在では書けないぐらいB級だったりするのですが、その臆面のなさが楽しかったりしますね。複雑な性格の登場人物がめったに登場せず、科学者がステレオタイプの「マッド・サイエンティスト」だったり。何も考えずに楽しめるのが魅力でしょうか。

No title

>kazuouさん

コメントありがとうございます。

そうですね。純正なSFプロパーの人から見たら激怒しかねない、トンデモ理論の作品が多いですよね。
「ティンダロスの猟犬」にしても、やってることはただ薬飲むだけですから。
悪い科学者も、何の捻りもなく本当に悪いですよね。こんな人、実生活上で会ったことないのですが…。
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