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鈴木晶 森田義信編「ニュー・ゴシック ポーの末裔たち」

2016 11 19 ニュー・ゴシック
 鈴木晶 森田義信編
 新潮社






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アンソロジーの魅力の一つに、作品選定の基準になるコンセプトが挙げられると思いますが、
この本のコンセプトは題名通りずばり、ニュー・ゴシックです。

じゃあ、そのニュー・ゴシックって一体何なのよ?という話になるのですが、
この本の提唱するニュー・ゴシックとは、本質的にはモダンホラーとほぼ同じで、
日常生活を送る上でふと覗く、裂け目のような闇を描いた小説を指すそうです。

モダンホラーは、不定形な闇に吸血鬼だの何だのと定型を与えることて、かえって読者を安堵させ、
ニュー・ゴシックは、逆に闇に形を与えず、闇をそのまま直視しようとする。とのことです。
ニュー・ゴシック自体の捕え方については、読んでいて「ああ、なるほどなぁ」と思いました。

ですが!この本の趣旨と選ばれた作品の間には、けっこうな乖離があるように私には思えました。
ジョイス・キャロル・オーツ、パトリック・マグラー、アイザック・B・シンガーなどは、この趣旨通りだと思いますが、
T・コラゲッサン・ボイル、ロバート・クーヴァー辺りのポストモダン作家の作品は、果たしてどうだったのかなと…。

また、別の見方では、ニュー・ゴシックというカテゴリを境界線ギリギリまで拡張することを試みた、
果敢な取り組みのアンソロジーである、とも言えると思います。
ホラー畑よりも、文学畑の人選が目立つアンソロジーになっています。
ルイス・オーキンクロウス、ウィリアム・ゴイエンといった作家のことを、私はこの本で初めて知りました。

パトリック・マグラーの「監禁」は、伝統的なゴシックを現代的に再構築して、人間の薄気味悪い暗部に迫った小説ですが、
この作品は一人称で書かれたことが、とても効果的だと思いました。
明らかに常軌を逸した人間の考えも、その当人の側から書くと、ごく当然の考えになってしまうわけでして。
そういう疑いを持たない人は実はどこにでもいて、読者の身近にもいるかも知れない…。そういう恐怖ですね。

ジョン・エドガー・ワイドマンという、これまた始めて知った作家の「熱病」という作品ですが、
時制も人称も横断した、随分ややこしいポストモダン小説で、私は読みながら何度か挫けそうになりましたが、
無闇にテンションの高い饒舌な文体は、読んでいるこちらが熱病に浮かされそうな迫力で、
頑張って読み終えた甲斐があったと、自分を(いや、作品を!)褒めたくなったのでした。
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文学フリマ行ってきました

第23回文学フリマに行ってきました。
場所は東京流通センターの、第二展示場です。
体調が思わしくなかったので、2時間ほどで帰ってきました。

同人誌を始めたいという割りには、同人誌について全く明るくなかったので、
下調べも兼ねて、何冊かホラー系の同人誌を買ってきました。

私はできれば、自分が作品を発表したいと思う方なので、同人誌を立ち上げるまでの間、
既に活動されているサークルさんに参加できないか、と考えておりましたので、
気になったサークルさんに、「小説を書かせて戴けませんか?」と訊いたところ、無事、快諾を戴けました。
いきなり不躾な問い合わせだったにも関わらず、ありがとうございます。
とても緊張しましたが、声をかけてみて良かったです。これで当初の目的を果たせました。

以下が買った本です。
これからゆっくり読ませて戴きます。


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2016 11 23 4 迷えるグリムの世界
 狂った歯車堂







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テーマ別で同人誌を創刊されているようです。
今作のテーマは、グリム童話の新釈だそうです。


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2016 11 19 迷い家通信 妖ノ章
 迷い家







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ホラー専門誌(だったかな?記憶違いでしたらすみません)とのことです。
私如き後進の新参者からすると、非常に心強い限りです。


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2016 11 23 4 イングルヌック 2016年 第2号
 イングルヌック







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お二人で活動されているようです。
前作は即興で制作されて、話題を呼んだようです。


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2016 11 19 ゆびさき怪談(青)
 薄禍企画








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岩城裕明氏など、殆どの同人がプロデビューを果たしている(日本ホラー小説大賞受賞者多し!)サークルです。
内容は130文字の怪談集です。値段も100円と手頃でした。


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2016 11 19 人体ホラー
 開式堂






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人体の各部位を題材にしたアンソロジーです。
小説誌の創刊の他、フリーペーパーの発行も行っているそうです。

那智史郎 宮壁定雄編「ウィアード・テールズ2」

20070108195529[1] ウィアード・テールズ2 
 シーベリー・クイン他 那智史郎 宮壁定雄編
 国書刊行会






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一口にウィアード・テイルズといっても膨大な作品がありまして、内容も玉石混淆です。
国書刊行会の「ウィアード・テールズ」は、中でも「石」に当たる、B級の方にかなり特化してまして、
私が漠然と思い描く同人誌は、こちらのテイストだったりします。
(勿論、過度にB級にこだわる気もないのですが…)

中でも、匿名の閨秀作家だったG・G・ペンターヴスの「八番目の緑の男」は、
とても傑作だとはお薦めできませんが、大らかなB級ホラーで私は愉しく読ませて貰いました。
著名な探検家である主人公氏が、たまたま知り合ったがさつな男のせいで、
店の前に人間の形を模した樹が七本並ぶ、「七本の人間樹軒」なる、
怪し過ぎる飲食店に誘われる、というお話ですが。
同行の男があまりにも迂闊過ぎて、一人、飛んで火に入る夏の虫状態になるのですが、
こういう登場人物のおかげで、ホラー小説は多くの恩恵を被っているのですね。
彼みたいな人間がいなければ、その店に寄らずに、それで終わりですから。

そのような迂闊な方々は、この本の他の作品にも登場してまして、
F・B・ロングの「千の足を持つ男」の科学者とか、
フランシス・フラッグの「おどる怪光線」の科学者とか、
アドルフォ・デ・カストロの「最後の実験」の科学者とか、
この時代の科学者は、少なくとも小説の上では随分迂闊な人が多かったみたいです。

その一方で、良識ある科学者も登場します。
このアンソロジー唯一の連載小説形式である、グレイ・ラ・スピナの「闇からの侵入者」に登場する、
ポーシャという女性の科学者は可憐で、研究熱心かつ、聡明な科学者として描かれますが、
その彼女にしても恋と研究の板挟みに思い悩み、それを人のいい語り部の叔母があれこれ気を揉んでいるという、
素朴な語り口が魅力のホラー小説でした。

はじめまして

はじめまして。
WORKD BEANSといいます。
ブログ初心者です。何分不慣れですが、ご容赦下さい。

最初ですので、ブログの趣旨について書こうと思います。
ゆくゆくはホラー小説の同人誌を立ち上げたくて、活動状況や告知等も兼ねて、
試験的にブログを始めることにしました。

同人誌ですが、ウィアード・テイルズという、
アメリカの怪奇小説専門の、パルプ誌もどきのものを作りたいと考えています。
短編中心、毎回テーマもなく、ホラー小説ならオールOKが良いと思っています。

今は自分一人で短編をいくつか書いているだけですが、
どこかの無料配信サイトに発表でもして、反応が多少なりともあるのか窺って、
またそれに即した展開ができればと考えています。

活動状況などは随時更新できればと思いますが、
実際は本や映画のことなどを、のんびり綴るのを中心に考えています。
ブログの題名は、飲んだ時に友人が言ったダジャレを無断拝借しました。
こんな感じですが、ご興味がありましたら宜しくお願い致します。
プロフィール

WORLD BEANS

Author:WORLD BEANS
ホラー小説専門同人誌、
「DAMMED THING」告知用ブログです。
活動状況はほぼ更新せず、大半は読んだホラー小説のことを、ぶつくさ書いてます。
ツイッター
@WorrdBeans

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